2012年9月号
病気を起こすもの 芯体操代表 津田美智子
病気の原因を病因(びょういん)といいます。病因は外から侵入してくる外因と、自分の身体の内部で起こり、臓腑を傷つける内傷(内因)に分けられます。外因は、もともとは風・寒さ・夏の暑さ・湿気・乾燥・非常に暑い熱という6つの気候六気(ろっき)のことです。六気は自然現象で人体に害はないといわれています。しかし、あまりに寒すぎる、暑すぎるなど極端になると病気を起こすことがあるのです。このような六気は、風邪(ふうじゃ)・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・火邪の外邪となり、六邪(ろくじゃ)とよばれています。
働き過ぎ、悩み過ぎ、遊び過ぎ、食べ過ぎなど外因でも内因でもない病因を不内外因といいます。不内外因を続けると、体調が悪くなります。
立ちっぱなし、座りっぱなしなど同じ動きを長期間続けることも不内外因です。このように病気を起こす原因は、生活の中での不摂生が要因となる場合も多いのです。
津液(つばき。唾液)と血の巡りが悪くなって生じる、疼血(おけつ)と痰飲(たんいん)も不内外因です。疼血は血が停滞したもの、痰飲は津液が滞留したものです。疼血と痰飲は、直接、または、間接的に臓腑や組織に影響を与えて、病気を引き起こします。
東洋医学では、人間と自然界は一体であると考えられています。これは統一体観とよばれる考え方で、東洋医学の基本となっています。統一体観では、人間、動物、植物、鉱物、大気、水などすべてのものは統一体を構成する要素であり、お互いに関係し合っていると考えられています。また、統一体の要素の一部が変化すれば、全体に影響がおよぶとされます。
統一体は不動ではありません。無数の要素は、それぞれが常に変化しています。この変化は、「陰と陽の移り変り」という概念で説明されます。陰は暗い、冷たい、静か、下がるなどの性質で、陽は明るい、温かい、活動的、上がるなどの性質です。統一体のすべては、陰と陽の2つの性質に分けられます。そして陰のものと陽のものが、必ず相対して存在するのです。
陰陽のバランスが取れた状態は、統一体が最も安定した状態なのです。「芯体操」では、筋肉のバランスを調整することでこの考えに向き合っています。
参考文献(兵頭明監修 経絡・ツボの教科書)
『希望の星体操』 八幡教室 古林秀子
私は、芯体操を始めて8ヶ月です。芯体操は、私にとっては『希望の星体操』です。40年前の高校生の時にスキーで、膝に怪我をしました。それ以来、年に何度か膝が痛くなっていました。年齢を重ねるほど、段々と痛みは強くなり、痛い期間も長くなるようになりました。1年半前に、また強い痛みがあり、いつまで経っても和らがないばかりか、日に日に痛みは、増していきます。立つだけでも痛く、和式トイレだと使えません。いつものように整形外科や、整体、良いと聞いたら、鍼灸や、名医と言われる所にも通いました。大病院のリハビリにも通いました。痛み止めの薬も飲み、ヒアルロン酸の注射も打ちました。
それも、大病院でしか打てないという、濃度の濃いのも打ちました。サプリメントも飲み、マッサージクリームで、マッサージも毎日しました。ところが一向に良くならないのです。これ以上、何をしたら良いのか途方に暮れ、筋肉を付ける健康体操が、良いのではないかと、インターネットで検索して見つけたのが、芯体操です。体験で教室に行かせてもらった日、膝を曲げることが痛く
て、皆様のように動けず、付いていけないと思いまして、先生に申し上げましたら、『皆どこかしら痛めて、辛いから続けられているんですよ、無理せずに続けてみませんか』と声をかけて頂き、優しい先生のお人柄にも惹かれて、入会させて頂きました。最近は、痛みも随分軽くなり、出来ることも増えてきました。痛みが軽くなることが、一番嬉しいのですが、痛み以上に心が軽くなりました。痛みが日々増すばかりの時は、自分が歩けなくなる恐怖、人様のお世話にならなければ、トイレにも行けないかもしれない、という恐怖があり、一人でいる時などは、知らず知らず涙が出ていました。母が両膝、人工膝関節というのも、似ているのではないかと、余計に怖かったです。
芯体操の後は、膝が少し楽なのです。おまけに、自分の中の細胞が、喜んでいるのが分かります。
細胞は、『そうそう、そのねじれを解いてほしかったのよ、やっと、細胞が希望していた動きをしてくれるのね、待っていたのよ、おめでとう、そして、分かってくれてありがとう』と私に話しかけます。ですから、治っていく喜びがある『希望の星体操』なのです。帰り道では、身体全体が楽になっています。細胞や筋肉は、どうやら良い動きというものを、知っているようです。芯体操を続けていれば、健康寿命が延びます。通ううちに、皆様のお顔も覚えて、親近感も湧き、喜びになっています。一人では出来ないような、しんどいポーズもお仲間の皆様が、頑張られていると、励みになり挑戦できます。心身共に、楽しく、嬉しく、元気になれる芯体操と、巡り会えて幸運です。先生方と皆様に、感謝しています。ありがとうございました。
編集後記 大石恵
暑気に閉口していたのに、虫の音にさみしさを感じる。
この移ろいに、次代に続けていくものの大切さを思っています。