2022年12月号
芯体操20周年を迎えて思うこと 芯体操代表 津田美智子
健康体操を1975年に始めたのですが、恐らく10年ぐらいはひたすら身体づくりに邁進していた時期がありました。千里よみうり文化センターでの発表会に参加し始めた頃から身体の動き、表現することに楽しさを覚えるようになりました。当時は文化センター講座でも、国内ではまだジャズダンスなどの全盛ではなかったのでとても新鮮でした。1990年〜202 2年に至るまでに100曲以上の作品を作ってきました。その作品は毎年の発表会、催し、各舞台などで披露してきましたが、芯体操の骨組みは整体であり、基本的な身体づくりを中心にレッスンを進めてきました。しかし、その前身ともなる作品作りは、正しく20周年を迎えた今、究極の身体づくりの宝物であることに気づいたのです。 私はその間、大変なアクシデントに遭遇し、全く未知の体験をしました。失くした身体を神の導きで(私はクリスチャンでもなく無宗教ですが)ひたすら生きるために闘ってきました。今の レッスンは全てこの体験から生まれたものであり、芯体操の真髄に他ならないのです。若さと共に踊っていた時期の作品と、身体と闘いながらの作品が、今たくさん残っています。封印していたわけではない。でも15周年パーティーを開いたことを最後に、5年ごとのパーティーではなく今回の20周年のお祝いは、自らの作品と向き合う年となりました。この不思議な流れは芯体操の新しい年に向かって「豊富な感慨」を生み出し、各作品に散りばめられた貴重な身体の神秘を解き明かす夢と希望に満ち溢れた年になると思えます。身体の細部に亘って、繊細な繋がり、呼吸法による隅々までの気をめぐらす運動は正しく誰にでも、自分自身の身体の改革を可能にするのです。 近頃、痛切に感じることがあります。それは地球の温暖化など自然破壊による影響が大きなダメージとなって、人間に及ぼす事例が増えています。自然の中で身体は育ってきた筈が、身体を侵していると感じることが多い。芯体操で多くの人に出会ってきましたが、私が健康体操を始めた頃の若い世代と今の人のからだとは明らかに違っています。自分も若かったとも考えますが、あのエネルギーはコロナ禍の今だから違うの?いや、やはり人間が、変わったのだと思います。芯体操の運動は身体の中と対話することです。背骨と手足が繋がっていないことが決定的です。繋ぐということは大気中の空気感に包まれて動けば教えてくれるのに、生まれたての赤ちゃんすらもう手足が繋がっていない子がいます。私が伝えようとしていることは決して難しいことではないのだけれど、この大気に包まれて育っていれば必ずしも分かるとは言えないのが現実なのかも知れません。 この12月はみなさまにほんの少し作品に触れていただきました。お伝えしたいことは山ほどある!これから私の47年間かけて創り上げた世界の幕開けだ!『パーフェクト』を踊りながらみんなで考えてみたい。どんなに豊かで楽しみな時間をもてるだろうか。繋ぐという奥深さを追求していきたい! 何かを感じ、来年に繋いでいきたい!そんな思いで一日の大切な時間を、共に歩んでくださると嬉しいです!